紛争の内容
出張修理サービス業者に勤務し、待機時間を含めると長時間の勤務となっているが、残業代が支払われないというご相談でした。

勤務内容を確認したところ、顧客の依頼に即時対応するため、シフトにより待機時間が定められ、待機時間中に本部から指示があれば客先に出向き作業を行うというものでした。

待機時間についても労働時間性が認められる可能性がありましたので、交渉事件の代理人として受任しました。

交渉・調停・訴訟などの経過
早速、会社に対して、消滅時効にかからない部分の残業代を請求する旨及びタイムカード等労働時間が把握できる資料の提供を求める旨を記載した通知を送付しました。

そうしたところ、会社側に代理人がつき、資料開示には応じるが、待機時間は休憩時間であるため、残業代の支払いには応じられない旨の回答がなされました。

開示された資料をもとに具体的な残業代を計算の上、待機時間といっても指示があればすぐに客先に向かわなければならないのだから、当該時間については労働からの解放が約束されているとはいえず労働時間に該当する、会社として残業代の支払いは免れない等の反論を行いました。

会社としても裁判手続等への移行は望ましくないと考えるようでしたので、和解可能か否かについて交渉を継続することになりました。

本事例の結末
会社側とのやり取りを重ね、会社が150万円の残業代の支払いを行うという内容の和解が成立しました。

本事例に学ぶこと
労働時間の中に待機時間が含まれる場合、使用者から待機時間は休憩時間だから残業代は発生しないという主張がされることが多くあります。

待機時間中に何をしていてもよい、仕事を依頼されることもないという状態であれば休憩時間という認識でよいと思いますが、ほとんどのケースでは待機時間といっても何らかの業務に対応しないといけないという状況にあります。

そのような場合、待機時間中は労働からの解放が約束されているわけではないため、待機時間を含めて労働時間を計算すべきという考えになり、その分未払いの残業代が発生することになります。

弁護士 吉田 竜二