事案の概要

身に覚えのないセクハラ疑惑により降格処分を受け、それに引き続く社長の嫌がらせにより退職を余儀なくされたとのご相談でした。
会社に対して、退職に至る経緯について慰謝料の請求をするとともに残業代の支払いがなされていなかったため、残業代の請求を合わせて行うことになりました。

交渉・訴訟の経緯

交渉段階において会社と何度かやり取りを行いましたが主張は平行線を辿るのみでしたので、やむなく訴訟を提起することとしました。
訴訟では社長が従前から抱いていた悪感情をセクハラ疑惑が噴出した機会に晴らしたのではないかということを主張するとともに労働時間を記録していない会社であったため、退勤時に実施される会議へ出席していた事実等を主張しました。

本事例の結末

会社が降格処分について適切なものである、残業代は管理監督者に該当するため発生しないとの立場でしたが、裁判所がそれに反する心証を開示したことにより、2つの問題をあわせて会社が500万円程度を支払うという和解が成立しました。

本事例から学ぶこと

ある処分が社長等の個人的な感情に基づいて行われたか否かを立証することは従業員側に一定の問題行動の可能性が指摘されている場合、非常に困難と言わざるを得ません。
そのため、そのような兆候を察知した場合には録音等言い逃れの出来ない証拠作成の準備を行っていくことが重要となります。

弁護士 吉田竜二

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