紛争の内容

塾講師を退職したが、勤務先の労務管理・賃金体系に疑問があり、未払賃金が存在する可能性がある、とのご相談でした。
退職前にある程度の資料収集が済んでいたケースでしたが、資料開示を含め勤務先に対して未払賃金の請求を行う方向性で受任しました。

交渉等の経過

勤務先からはタイムカード等の資料が開示されましたが、同時に、管理監督者に該当するため残業代は存在しない旨の反論がなされました。
勤務先は複数の教室を運営しており、ご相談者様は1つの教室の教室長とマネージャーを兼務していました。
その点に関連して、教室長以上の従業員については特別手当を支給する代わりに管理監督者として残業代を支給しないという勤務先の扱いが問題となりました。
ご相談者様に管理監督者の実態はない、特別手当の内訳が不透明であるため残業代の支払いとは認められない、と主張し、交渉を続けましたが、勤務先の態度が変わらなかったため、やむを得ず、訴訟提起に踏み切りました。

本事例の結末

訴訟においても同様のやり取りが行われましたが、主張が出揃った段階で裁判所から、管理監督者に該当するという判断は難しく、特別手当の全部を残業代の支払いと認めることもできないとの見解が示され、勤務先が解決金として110万円を支払うという内容の和解が成立しました。

本事例に学ぶこと

長という立場にある労働者について、使用者から管理監督者に該当するという主張がされることがままありますが、労働者の勤務実態等から労基法上の管理監督者に該当するという主張が認められることは稀です。
管理監督者である(から残業代はそもそも発生しない)、そうでないとしても手当が残業代の支払いにあたる、という一見矛盾した主張がされることもありますので、両面からの検討が必要となります。

弁護士 吉田竜二

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