残業代を請求するためには実際の労働時間を把握する必要があります。
そして,労働時間の把握によく使われるのがタイムカードです(同様に,会社や施設の入退館・入退室を記録するIDカード・ICカードの記録も用いられることがあります。)。

多くの場合は,始業・終業時刻の把握のためにタイムカードを打刻させていますから,この打刻された時間数から計算して,残業代を請求することになります。
しかしながら,(それ自体の妥当性はともかく)会社によっては,タイムカードを単なる出勤したかどうかの記録として使っているところもあります。また,単に会社施設の内部にいる時間帯が分かるに過ぎないということもあります。
この場合には,タイムカード等の時間数と労働時間が対応していないことになりますので,直ちにタイムカード等の時間数から労働時間を立証することができません。
ご自身の会社のタイムカード等が,どのような運用をされているものなのか,丁寧に検討する必要があります。

それでは,そもそもタイムカード等がない場合はどうしたら良いでしょうか?
この場合には,タイムカード等以外の(なるべく客観的な)証拠から立証することになります。
例えば,パソコンを立ち上げた時間・シャットダウンした時間の記録や,メールの送受信記録などが考えられます。
どうしてもこういった客観的な記録が残らない職場・業務内容の場合には,ご自身で記録をとる必要があります。その場合でも,手書きのメモより,客観的に記録されるものの方が望ましいとされますので,例えばご自身の携帯電話でタイムスタンプ入りの写真を撮る(時計などを写してもよいかもしれません。)とか,(少し立証が難しくなりますが)メールやLINEなどの通信履歴に残すなどの策が考えられます。

いずれにしても,残業代請求をする際には,以上のような証拠を準備する必要がありますので,お早めに弁護士にご相談され,対策を考えることをおすすめいたします。

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